新卒3年以内に辞める割合は、約35%です。つまり3人に1人は3年以内に仕事を辞めています。新卒で入社してすぐ辞めると、その後の転職活動が不利になるのでは?と疑問に思う人は多いです。
かつては「3年未満で辞めるのは甘え」とされてきました。しかし近年は、自分に合う働き方を優先する人が増え、早期離職でも一概に甘えとはいえなくなっています。
本記事では、新卒ですぐ辞めるのは甘えかどうかを解説します。また、その後の転職活動が不利になるのかも解説しているので、参考にしてください。
本記事の結論
・新卒ですぐに辞めるのは甘えではない
・新卒がすぐに辞める理由は、仕事内容とのギャップ、職場の人間関係のトラブル、企業との価値観の違いなど
・転職活動を成功させるポイントは、自己分析の徹底、退職理由の整理、転職エージェントの活用など
新卒ですぐに辞めるのは甘えではない
新卒で入社してすぐ辞めると、甘えだと批判されることがあります。しかし現代では、働き方やキャリア観が大きく変化しており、一概に甘えとはいえません。
会社や仕事に対するミスマッチを早期に見極め、自分に合った道へ進む選択も重要です。離職には不安が伴いますが、実際には早期離職でも転職市場で成功している人は多く存在します。
・新卒で辞めるのは甘えではない理由
新卒3年以内の離職率は25年前から変わらない
新卒で3年以内の離職は第二新卒として需要が高い
新卒がすぐに辞めるのは甘えといわれる理由
新卒3年以内の離職率は25年前から変わらない
新卒は最低でも3年働くべき、という考え方は今も根強く残っています。しかし実際のデータを見ると、3年以内に会社を辞める新卒社員の割合は、約30%前後で推移しており、25年前と大きな変化はありません。

出典:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
これは単に最近の若者がすぐに辞めるという話ではなく、昔から一定数の新卒社員が早期離職してきた事実を示しています。また、社会全体で転職が当たり前になった現在、離職理由をきちんと説明できれば、その後の転職活動に大きな悪影響を及ぼすことは少ないです。
離職を恐れすぎず、冷静に自分のキャリアを見つめ直すことが重要です。
新卒で3年以内の離職は第二新卒として需要が高い
新卒で3年以内に辞めた場合は、第二新卒としての需要があります。第二新卒は、社会人として最低限のビジネスマナーを習得しており、成長意欲が高いと評価されています。
また、長年在籍していないため、前職の社風や業務プロセスに染まりきっておらず、自社色に染めやすい点もメリットです。4年目以降は中途採用として扱われるため、即戦力として期待されます。3年と4年で違いがあるので注意しましょう。
新卒がすぐに辞めるのは甘えといわれる理由
新卒ですぐに会社を辞めると、忍耐力がない・仕事をすぐ投げ出す、といったレッテルを貼られることがあります。これは、長期間同じ会社で働き続けることが美徳とされてきた日本社会の価値観が背景にあります。
また、企業側も新卒採用には多額のコストをかけているため、すぐに辞められると損失が大きく、そのため甘えと厳しく評価されるのです。
ただし、現代では働き方改革や価値観の多様化が進み、自分に合わない職場で無理に働き続けるよりも、早めに方向転換する方が合理的とする考え方も浸透してきました。
新卒がすぐに辞める理由
新卒がすぐやめるのは、仕事内容と現実の違いや、職場環境への違和感、企業ポリシーとの不一致など、さまざまな理由が存在します。よくある5つの理由を詳しく解説し、早期離職に悩む方のヒントとなる情報をお届けします。
・新卒がすぐに辞める理由
仕事内容と実際のギャップを感じたから
職場の雰囲気や人間関係に馴染めなかったから
企業のポリシーと自分の価値観が合わなかったから
教育体制・研修不足を実感したから
自己成長の限界を感じたから
仕事内容と実際のギャップを感じたから
入社前に想像していた仕事と、実際に与えられた業務内容が異なると、大きなストレスを感じます。企業ホームページや求人票に書かれた内容だけでは、リアルな業務までイメージしきれない場合が多いです。
とくに新卒の場合、初めての社会人経験であるため、ギャップのショックは想像以上に大きくなりがちです。こんなはずじゃなかった、と思いながら仕事を続けるうちに、モチベーションが低下し、退職を考えるようになります。
自分がやりたい仕事、興味を持てる業務でなければ、キャリア形成もうまく進みません。そのため、仕事内容に対する違和感は、すぐに辞める理由の一つとして非常に多いといえるでしょう。
職場の雰囲気や人間関係に馴染めなかったから
職場の雰囲気や人間関係に馴染めないことも、すぐ辞める大きな原因です。上司や先輩社員との相性が悪かったり、職場全体の風土が合わなかったりすると、毎日の出勤自体が苦痛になります。
会社のポリシーがチームワーク重視であっても、個人プレーを求められる環境だった場合、戸惑う人も多いです。また、職場内で孤立感を覚えると、自分の存在意義がわからなくなり、働く意欲が失われます。
企業のポリシーと自分の価値観が合わなかったから
企業の経営方針や働き方に対するポリシーが、自分自身の価値観と合わないと、仕事に違和感を覚えるようになります。たとえば、成果主義を強く求める会社に入ったものの、安定志向で仕事をしたい人にとっては大きなストレスとなります。
また、働き方改革をうたっているものの、実態は長時間労働が当たり前という企業も少なくありません。このようなミスマッチは、入社後すぐに明らかになるケースが多く、早期離職に直結します。
教育体制・研修不足を実感したから
新卒社員にとって、入社後の教育体制や研修制度は、成長を支える重要な基盤です。しかし、現実には十分な研修が行われず、いきなり現場に放り込まれるケースも存在します。
右も左もわからない中で成果だけを求められると、大きな不安や焦りを感じるでしょう。本来なら入社後数カ月間は、基本的なビジネスマナーや仕事の進め方を丁寧に教える期間です。
しかし、教育担当者が忙しかったり、制度そのものが形骸化していたりする職場では、新人が孤立しやすくなります。
自己成長の限界を感じたから
新卒で入社してすぐ、仕事の内容や会社の将来性に限界を感じるケースも少なくありません。たとえば、単純作業ばかりが続き、スキルアップやキャリア形成につながる経験が得られない場合、モチベーションは大きく下がります。
また、会社全体に成長意欲がなく、新しいチャレンジを推奨しない文化であれば、若手社員の成長機会は限られてしまいます。未来に希望を持てない職場で長く働くことは、キャリア形成にとってリスクが大きいです。
新卒がすぐに辞めてもその後の転職活動を成功させるポイント
新卒がすぐに辞めてもその後の転職活動を成功させることは可能です。次に紹介する4つのポイントを押さえておきましょう。
・転職活動を成功させるポイント
退職理由を整理して明確に伝える
自己分析で強みとキャリア判断軸を固める
転職エージェントを活用する
面接対策と自己PRを企業ニーズに合わせて準備する
退職理由を整理して明確に伝える
退職理由を伝える際はネガティブ要素をポジティブに変換しつつ整理することが重要です。まず、仕事内容のミスマッチや教育体制不足など、事実を箇条書きで可視化します。
次に「個人の目標達成に必要な環境を求めたため」といった前向きな言葉に置き換えます。感情的な不満をそのまま口にすると、企業側に嫌なことがあるとすぐ辞める社員と判断されやすいです。
整理した理由は自己分析の一環となり、キャリア判断軸の明確化にもつながります。こうしてまとめた退職理由は面接での自己PRにも活用できます。
自己分析で強みとキャリア判断軸を固める
自己分析は転職活動成功の要です。まず、新卒入社後に成果を挙げたエピソードをリストアップします。1カ月や3カ月で退職した場合は具体的実績が少ないかもしれません。その際は、コミュニケーション能力やプロジェクト管理などのポータブルスキルを示しましょう。
加えて、入社後に意欲的に取り組んだ経験や将来性を強調します。次に、自分の価値観や働き方の譲れない条件を洗い出し、キャリア判断軸を固めます。判断軸が曖昧だと企業のポリシーや仕事内容とミスマッチを起こし、入社後に後悔する恐れがあるので注意してください。
転職エージェントを活用する
転職エージェントは非公開求人や企業の内部情報を得る強力なパートナーです。まず、複数のエージェントに登録し、専門領域やネットワークの違いを比較しましょう。そのうえで、キャリア判断軸や希望条件を具体的に伝えて紹介の精度を高めます。
エージェントは採用方針や企業文化を熟知しており、マッチングの質が向上します。面接日程の調整や年収交渉を任せられる点は大きなメリットです。定期的に進捗確認を行い、フィードバックを反映させると効率的に活動できます。労働者目線の手厚いサポートを受けるために、エージェント活用は欠かせません。
面接対策と自己PRを企業ニーズに合わせて準備する
転職活動を成功させるには、面接対策や企業研究が欠かせません。会社の事業内容や業界動向を押さえたうえで、自社のニーズを掴み取りましょう。その情報にもとづいて自己PRを構築し、自分の強みと企業が求めるスキルを結びつけます。
また、具体的な実績や数字を交えたエピソードを用意すると説得力が増します。実際の面接形式を想定した模擬面接も有効です。フィードバックを受けて改善を重ねることで、面接官への印象が高まります。
新卒ですぐに辞めるデメリット!辞めなきゃ良かった後悔は?
新卒ですぐに会社を辞めると、転職市場での印象がマイナスになる場合があります。ネガティブな退職理由は、企業の選考通過率を下げやすいです。辞めなきゃ良かったと後悔する人もいますので、デメリットとなる部分も十分に理解しておきましょう。
・新卒ですぐ辞めるデメリット
転職市場での印象がマイナスに働く可能性がある
すぐ辞めてしまったことへの不安や焦りを感じてしまう
収入やキャリアの一時的な停滞リスクがある
転職市場での印象がマイナスに働く可能性がある
新卒ですぐに辞めると、採用担当者に「またすぐ辞めるのでは」と思われやすいです。とくに1カ月や3カ月以内の離職は、転職市場でネガティブな評価につながります。
こうしたイメージを払拭するには、退職理由の伝え方が重要です。ネガティブな理由は、自己成長への意欲や企業文化とのギャップとして前向きに説明しましょう。さらに、自分のキャリア判断軸や将来性を示すエピソードを盛り込むと効果的です。
その結果、第二新卒としての需要が高まり、マイナス印象をプラスに変えられます。
すぐ辞めてしまったことへの不安や焦りを感じてしまう
新卒ですぐに辞めると、すぐに辞めてしまったことへの不安や焦りを感じてしまいます。とくにSNSや友人の成功報告を目にすると、自分だけ取り残された気分になります。
このような不安や焦りは、転職活動に悪影響を及ぼすため、注意が必要です。たとえば、焦って自分の希望とは違う仕事内容に応募したり、面接対策を怠ってしまったりなどが挙げられます。
このような悪影響は結果的に、転職活動の長期化につながり、悪循環につながる原因になります。転職活動が思ったように進まないと感じた場合は、一度転職エージェントに相談してみましょう。
収入やキャリアの一時的な停滞リスクがある
新卒ですぐに辞めると、退職から再就職までの間に収入が途絶えます。そのため、生活費や貯蓄の問題が深刻化しやすいです。社会人経験が浅いと、次の求人でも同等の給与水準を得るのが難しい場面もあります。
特に人気企業やトップ企業を目指す場合には、年齢や経験不足が足かせになりやすいです。キャリアアップの機会を逃すと、同世代とのギャップが広がります。転職市場では実績の少なさが判断材料となり、応募できる企業の幅が限られてしまうケースが珍しくありません。
新卒がすぐに辞めることに関するよくある質問や悩み
新卒がすぐに辞めることに関するよくある質問や悩みを紹介します。
・よくある質問や悩み
新卒ですぐに辞めると人生終わり?
新卒で1カ月や3カ月で辞めてもいいの?
新卒ですぐに仕事を辞めるメリットは?
第二新卒でもトップ企業に応募できる?
新卒ですぐに辞めるかどうかの判断ポイントは?
辞めなきゃ良かったと後悔することはある?
新卒ですぐに辞めると人生終わり?
新卒ですぐに辞めても人生が終わるわけではありません。離職率は3年以内で約30%と高めですが、実際には多くの人が第二新卒市場で再スタートを切っています。そのため、気持ちを切り替えて行動に移すことが大切です。
自己分析でキャリア判断軸を固めたうえで転職活動に臨めば、トップ企業や優良中堅企業の求人にもチャレンジできます。20代はまだまだ可能性に満ちていますので、あきらめずに転職先を探してみましょう。
新卒で1カ月や3カ月で辞めてもいいの?
新卒で1カ月や3カ月で辞めても問題ありません。ただし、辞める前に本当に辞めてもいいのか検討してください。入社してすぐは仕事に慣れていないため、しんどい・つらいと感じるシーンが多くあります。
そのため辞めるという選択肢が早すぎる可能性があります。パワハラやセクハラなどで、精神的にしんどいなどの理由がなければすぐに辞めずに働き続けることほうがおすすめです。
新卒ですぐに仕事を辞めるメリットは?
新卒ですぐに辞めると、一見デメリットに見えるものの、実はメリットも存在します。まず、会社の仕事内容やポリシーと自分の価値観が合わないと早い段階で気づけます。その結果、キャリアの軸を早期に設定でき、長期的な満足度向上につなげることが可能です。
また、ミスマッチのストレスを抱えたまま働き続けるリスクを回避し、精神的な健康を守れます。
第二新卒でもトップ企業に応募できる?
第二新卒枠は中小企業向きというイメージがありますが、実際にはトップ企業も若手人材を積極採用しています。多くの大手企業が離職率低減や人材多様化を推進するため、3年以内離職者をターゲットにした求人を公開しています。
新卒で得たビジネスマナーや基本スキルを持つ若手は、ポテンシャル採用の対象になりやすいです。応募時には、退職理由とキャリア判断軸を整理して企業ポリシーと照らし合わせた自己PRを準備しましょう。
また、転職エージェント経由で内部情報を得ると、選考対策が一層充実します。
新卒ですぐに辞めるかどうかの判断ポイントは?
新卒ですぐに辞めるかどうかの判断ポイントは、以下の5つをチェックします。
- 仕事内容と実際のギャップ
- 職場の雰囲気
- 企業ポリシーとの不一致
- 教育体制の不足
- 成長限界
これらが複数当てはまる場合は、価値観やキャリア判断軸を再検討するサインです。新卒ですぐ辞めるデメリットもありますので、メリットなどを踏まえながら辞めるべきか検討しましょう。
辞めなきゃ良かったと後悔することはある?
新卒ですぐに辞めて「辞めなきゃ良かった」と後悔するケースは珍しくありません。特に収入やキャリアが一時的に停滞すると、経済的プレッシャーが原因で後悔の感情が強まります。
こうした後悔を防ぐには、退職前に転職活動の準備を進めることが有効です。たとえば、転職エージェントを活用して非公開求人や業界情報を集めると、退職後のギャップを軽減できます。
新卒ですぐに辞めても行動次第では転職活動が不利にならない
新卒ですぐに辞めたとしても、そのあとの行動次第では転職活動が不利にはなりません。特に転職活動がポジティブであり、転職先の求める人物像にマッチしている場合は、プラスの印象を与えられます。
伝えるときの表現やアピールの仕方が重要です。転職活動に少しでも不安を感じる場合は、転職エージェント利用しましょう。エージェントがあなたに合った企業を紹介してくれるため、成功率が高くなります。
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